東京高等裁判所 昭和62年(ネ)3533号 判決 1988年7月11日
昭和六二年(ネ)第三四五七号事件控訴人、第三四八八号、第三五三三号事件被控訴人(第一審原告)(以下、第一審原告、という)
甲野花子
昭和六二年(ネ)第三四五七号事件控訴人、第三四八八号、第三五三三号事件被控訴人(第一審原告)(以下、第一審原告、という)
甲川雪子
昭和六二年(ネ)第三四八八号、第三五三三号事件被控訴人(第一審原告)(以下、第一審原告、という)
甲野太郎
右三名訴訟代理人弁護士
木村敢
昭和六二年(ネ)第三四五七号事件被控訴人、第三四八八号事件控訴人(第一審被告)(以下、第一審被告、という)
乙山月子
右訴訟代理人弁護士
小川正澄
同
小川まゆみ
昭和六二年(ネ)第三四五七号事件被控訴人、第三五三三号事件控訴人(第一審被告)(以下、第一審被告、という)
乙山次郎
右法定代理人後見人
乙谷三郎
主文
一 昭和六二年(ネ)第三四五七号事件について
第一審原告甲野花子、同甲川雪子の控訴に基づき、原判決主文第一、三、四項を次のとおり変更する。
1 第一審原告甲野花子が原判決添付別紙物件目録一及び二記載の土地につき所有権を有し、同三ないし六記載の土地につき二分の一の共有持分権を有することを確認する。
2 第一審原告甲川雪子が同目録八記載の土地につき、四分の一をこえて二分の一の共有持分権を有することを確認する。
3 第一審原告甲野花子のその余の請求を棄却する。
二 昭和六二年(ネ)第三四八八号事件について
第一審被告乙山月子の控訴を棄却する。
三 昭和六二年(ネ)第三五三三号事件について
第一審被告乙山次郎の控訴を棄却する。
四 訴訟の総費用は、第一、二審を通じ、第一審被告らの負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
(昭和六二年(ネ)第三四五七号事件)
一 控訴の趣旨
1 原判決主文第四項を取り消す。
2 原判決主文第一項、第三項、第五項を次のとおり変更する。
(一) 第一審原告甲野花子が原判決添付別紙物件目録一ないし六記載の土地につき所有権を有することを確認する。
(二) 第一審原告甲川雪子が同目録八記載の土地につき四分の一をこえて二分の一の共有持分権を有することを確認する(原審の請求のうち右以外の部分を取下げた。)。
3 訴訟費用は第一、二審を通じ第一審被告らの負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
控訴棄却(第一審原告甲川雪子の訴の取下について同意した。)。
(昭和六二年(ネ)第三四八八号事件)
一 控訴の趣旨
1 原判決中第一審被告乙山月子の敗訴部分を取り消す。
2 第一審原告らの第一審被告乙山月子に対する請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は第一、二審を通じ第一審原告らの負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
控訴棄却
(昭和六二年(ネ)第三五三三号事件)
一 控訴の趣旨
1 原判決中第一審被告乙山次郎の敗訴部分を取り消す。
2 第一審原告らの第一審被告乙山次郎に対する請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は第一、二審を通じ第一審原告らの負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
控訴棄却
第二 当事者の主張
原判決事実摘示のとおりである。
ただし、次のとおり付加訂正する。
1 原判決三枚目裏三行目の「前所有者」の次に、「訴外細淵卓造」を加え、同裏五行目の「前所有者」の次に、「訴外室井貞七郎」を加え、同裏六行目の「前所有者」の次に、「訴外石田正男」を加え、同裏八行目の「前所有者」の次に、「訴外森田富一」を加える。
2 同四枚目裏四〜五行目の「二分の一(自己の持分四分の一とカツから承継した持分四分の一)」を「四分の一をこえて二分の一」と改める。
3 同四枚目裏八行目から五枚目表四行目までを削る。
4 同五枚目表七行目の「同3の事実を否認する。」を削り、次を加える。
「3 同3の事実のうち、(一)本件一、二の土地が、もと訴外細淵卓造の所有であったことは認めるがその余の事実は否認する。(二)本件三ないし六の土地が、もと訴外室井貞七郎の所有であったことは認めるが、その余の事実は否認する。(三)本件七の土地が、もと訴外石田正男の所有であったことは認めるが、その余の事実は不知。(四)本件八の土地が、もと諸外森田富一の所有であったことは認めるが、その余の事実は不知。」
5 同五枚目表末行目の「原告」を「原告ら」と訂正する。
6 同五枚目裏一行目の次に、次を加える。
「5 同5及び6の事実を認める。」
7 同五枚目裏二行目の「「5」を「6」改める。
第三 証拠関係<省略>
理由
一請求原因1、2の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。
二請求原因3の事実のうち、本件一、二の土地が、もと訴外細淵卓造の、三ないし六の土地が、もと訴外室井貞七郎の、七の土地が、もと訴外石田正男の、八の土地がもと訴外森田富一の各所有であったことについては、当事者間に争いがない。
<証拠>によれば、本件各土地は、いずれも第一審原告ら主張の日に、右の各前所有者からアキに売買を原因として所有権移転登記がなされていること、アキは右日時頃○○不動産株式会社の社長として相応の収入を得ていたこと、第一審被告次郎は昭和五四年七月一三日付で自己の公正証書遺言を作成しているが、その中では本件各土地が自己所有であるとの主張の形跡はどこにもなく、むしろ、次郎は、右公正証書中で遺贈する旨明示した財産以外の一切の財産をアキに単独相続させる旨の意思を明示していること、昭和五五年一二月二五日、第一審被告次郎は、次郎名義の一切の財産をアキに遺贈する旨の自筆証書遺言を作成していること、第一審被告次郎は、昭和五五年頃は未だ精神状態は健全でアキと老後のことを話合うような状態であったこと、を夫々認めることができ、右認定の各事実を総合すると、アキ名義の本件土地の売買がなされたこと、そしてその際、売買代金については少なくともアキがその一部を支出し、残部については夫次郎の援助を受けたかも知れないが、そうであるとしても実質上の取得者もアキとする旨の了解の下に右援助を受けたものであることを推認することができ、従って、アキが前記の各土地の所有権を売買によって取得した事実を認めることができる。
これに反して、<証拠>によれば、本件各土地を買ったのは第一審被告次郎であり、売買代金も全て同人が支払ったもので、本件一ないし八の土地の真実の所有者は第一審被告次郎であるが、便宜上、或いは差押えを免れる目的等のため妻であるアキの名義にしていたのに過ぎないという趣旨の供述が存在する。
しかし、<証拠>によれば、第一審被告次郎は、精神に異常を来たす以前、アキと何事もよく相談して対処していたが、本件土地が自己所有である旨主張したことはないこと、前認定のとおりの内容の第一審被告次郎の嘱託による公正証書遺言(甲第一六号証)、自筆証書遺言(甲第一五号証)が存在すること、前記冬田証人は第一審被告次郎の愛人の子であり、乙山証人は第一審被告月子の夫であって、いずれも、相続関係においては、第一審原告らと直接又は間接に利害の対立する敵性証人であること、冬田証人は、自己名義で取得した土地につき第一審被告次郎の出捐によるものであると供述しながらこれを自己の所有物として売却していること、等の各事実が認められることを考慮すると、右<証拠>は直ちには措信し難く、他に右の認定を左右する証拠はない。
そうすると、本件一ないし八の各土地は、いずれも、乙山アキの遺産であると認めるのが相当である。
三請求原因4の事実について検討する。第一審被告次郎との間においては成立に争いがなく、第一審被告月子との間においては<証拠>によれば、アキは、その生前、
1 請求原因4一記載の証書による遺言、即ち、
本件三ないし六の土地につき「右は甲野一家の相続とする」との遺言(甲第一号証の三)
2 同4(二)記載の証書による遺言、即ち、
本件一、二の土地につき「右は甲野の相続とする」との遺言(甲第一号証の四)
3 同4(三)記載の証書による遺言、即ち、
本件七の土地につき「右は甲野太郎に譲る」との遺言(甲第一号証の六)
4 同4(四)記載の証書による遺言、即ち、
本件八の土地の持分のうちアキの持分四分の一を「甲川に相続させて下さい」との遺言(甲第二二号証の二)の各遺言をしたことが認められる。
ところで、右の各遺言の中には財産の特定、及び財産を取得させる者の特定について必ずしも明確であるとはいえない点があるので、この点について検討する。
まず、甲第一号証の三の「甲野一家」、甲第一号証の四の「甲野」及び甲第二二号証の二の「甲川」について考える。前掲各証拠によれば、アキはそれぞれの娘を意味するときに、その婚家先の姓を使っていたことを認めることができ、それによると、「甲野」は「甲野花子」を、「甲川」は「甲川雪子」をそれぞれ指していることは明らかである。次に、「甲野一家」について考えるに、この言葉だけでは誰を指すか特定できないという考え方もあり得るが、右の文言の言葉としての意味と第一審原告花子本人尋問(当審)の結果により認められる右土地を花子側に相続させたいというアキの意思とからみると、アキの真意を探求することは可能であると考える。この場合、右文言によって意味される可能性のある者は、(一)相続人である花子、(二)甲野家の筆頭者である太郎、(三)甲野家の四人、即ち甲野太郎、同花子夫婦と娘二人及び(四)甲野家の中心である太郎と花子の夫婦、の四つである。まず、前述の用語法によると、花子個人を指すとみることはできない。又、太郎を指す場合は甲第一号証の六にあるように、その名前を明記する筈であるから、同人を指すとみることはできない。次に、娘二人を含む甲野家の四人を指すと解するには、独立していない娘らを特に含める旨の特別の事情がなければならないが、そのような事情は認められない。結局、甲野家の中心をなす太郎と花子夫婦を指す、すなわち、右両名に二分の一づつの共有持分権を与える趣旨であると解するのがアキの真意に最もよく合致するものと考えられる。
次に、甲第一号証の地番「二九六―六」は、前記甲第一九号証の一ないし三に照らして考察すれば、地番「二九六―三」の誤記と認めるのが相当であり、甲第一号証の六の地名「高九」は「高久」の誤記と認めるのが相当である。
四請求原因5、6の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。
五本件各遺言の法的性質について検討する。相続人でない太郎に対する遺言が遺贈であることは当然である。相続人である花子と雪子に対する遺言については、次のように解すべきである。一般に、被相続人が、遺言において、遺産に属する特定の財産Aを特定の共同相続人甲に取得させる意思表示をした場合に、これを遺産分割方法の指定(民法九〇八条)とみるか、遺贈(同九六四条)とみるかは被相続人の意思解釈の問題である。この解釈に当って最も尊重されるべきものは、当然、被相続人の内心の意思である。それは、通常、できるだけ早期に、かつ、できるだけ確実に、Aを甲に与えたいということであろう。それには遺贈が適している。分割方法の指定の場合は、相続開始後の遺産分割がなされた時に、かつ、遺産分割によって始めて、甲はAの所有権を取得する(効果は遡ることになるが)ことになるのに対し、遺贈の場合は、相続開始と同時に、かつ、何等の手続も要することなく、排他的にAの所有権は甲に帰属することになるからである。この見地からすると、右の遺言は原則として遺贈と解すべきことになる。しかし、被相続人の意思はこれだけではない。我が国では、通常人は、自己の死後における自己の財産の処分を行うに当り、特定の第三者に特定の財産を遺贈するのと同じ意味合いにおいて特定の相続人に特定の財産を遺贈するという意識を持つことは殆どなく、遺産の分割を、全部又は一部、自分の生前に予めやっておく、つまり、遺産分割の協議を共同相続人の代りに被相続人がやっておいてやるという意識の下にAを甲に与える旨の遺言をすることが多い。この点を重視すると、右の遺言は原則として分割方法の指定ということになる(更に、現行法上、遺贈の場合の方が分割方法の指定の場合よりも税金が重いということもあって、後者の趣旨に解すべきだとされることもある)。
このように、被相続人の内心には右の両者の意思が併存するのが普通であるが、そのいずれを重んずべきであろうか。前者は実質的利益の問題であるのに対して、後者は形式的利益の問題に過ぎないのであるから、二者択一ということになれば前者を採らざるを得ず、従って、遺贈と解すべきことになる。しかし、二者両立の途があるのであれば、それが最も望ましいことは言うまでもなく、この場合は、分割方法の指定と解すべきことになる。
そこで、検討するに、数人の共同相続人が遺産の分割を協議するに際して、被相続人による分割方法の指定がなされていないときは、遺産を構成する財産のすべてについて共同相続人の全員一致によってのみ帰属が定められるのであり、現行法上、特定の財産について例外が定められていることもなく、又、特定の相続人の意思が他の相続人の意思に優先するということもない。しかし、遺言によって前述のような分割方法の指定がなされているときは、財産Aについては相続人甲の意思が絶対的に優先すると言わなければならない。協議において、甲は、Aについての優先権を放棄することはできるが、放棄しないで優先権を主張する限り、他の共同相続人はこれを覆すことはできない。従来、このような場合をも協議不調の一場合として、家庭裁判所に分割請求がなされていたようである。そして、家庭裁判所において調停が行われても、甲が優先権を主張する限り、調停は成立しない。そこで、最後に、審判となるが、被相続人の意思と相続人甲の意思とを無視することはできず、甲が優先権を主張する限り、Aを甲に与える旨の審判をする外はない。これに反する趣旨の審判は違法である。
ここで、以上の一連の手続過程を振り返ってみると、甲が確定的に優先権を主張した時点以後の手続は、明らかに無用であることに気付く。既に、右の時点において、Aを甲に帰属させる、という結論は出ているのであり、それ以後同一の結論に審判という衣を着せるためだけに無駄な時間と労力を費やしているに過ぎない。しかし、審判は、裁判の形をとることに意味があるのではなく、協議や調停において結論が出ない場合に結論を出すことに意味があるのであるから、既に結論が出ていることについてはわざわざ審判をする必要はない訳である。そこで、事態を率直に考察すれば、甲がAについて優先権を主張した時点において、その限度における遺産の一部の分割の協議が成立したものと評価するのが相当である(つまり、Aを甲に帰属させるか否かについて協議がなされたが、話し合いによっては結論が出ず、評決によって結着が図られることになり、投票の結果は、賛成票甲一人、反対票甲以外の相続人全部となったとして、Aについては甲のみが評決権を有する訳であるから、一対零でAは甲に帰属させる旨の決議が成立したと解すべきことになる。この場合、実際に、右のような手続がとられた場合は勿論、そうでない場合でも、甲がAを取得する旨の意思が明確に他の相続人に表明された場合は右の手続を行うことは無意味であるから、右意思表明の時点をもって協議成立の時点と解すべきである(大判昭一三・四・三〇新聞四二七六・八参照)。逆説的に言えば、甲がAについては他と協議しないという意思を表明することが、Aを甲に与える旨の協議が成立したことになると解すべきなのである。或いは、右の意思の表明によってAは協議の対象から除外されることになるという方が率直な表現であろうが、全ての遺産は協議の成立によって帰属が確定するという建前を尊重するとすれば、右のように言うのが適当であろう。なお、遺産の一部についてのみ協議を成立させることができることは当然である。)。
右のように解することによって、被相続人の矛盾しかねない二つの意思、すなわち、一方において、できる限り早期かつ確実に特定財産を特定相続人に帰属させたいという意思と、他方において、分割方法の指定をしたいという意思とをいずれも実現させることができるといえよう。
以上の考察は社会経済的見地からも支持されるものと思う。なんとなれば、経済取引の円滑発展のためには、流通する財貨は共同所有の形にあるよりも単独所有の形にあるほうが望ましいことは明らかである。従って、近代法の精神は単独所有を基本としている(民法四二七条参照)。判例法上、金銭債権については、遺産分割の協議をするまでもなく、当然に分割されるとされている(最判昭和二九・四・八民集八・四・八一九)のも、遺産のうち分割できるものはなるべく早く分割して単独所有としようという考えに基づくものと解される。又、登記実務において、分割方法の指定と解される遺言によって相続を登記原因とする所有権移転登記を認めている(昭和四七・四・一七付民事甲一四四二法務省民事局長通達・民月二七・五・一六五頁)のも、右の考察によって正しく理解することができるものといえよう。
ところで、かように解した場合に、具体的に遺産の帰属を遺言により指定された相続人が、何時、当該遺産についての優先権を主張したと解するべきかが問題となるであろう。相続人は、相続の承認、放棄をする自由を有しているわけであるから、通常は、当該相続人が、右遺言の趣旨を受け容れる旨の意思を他の共同相続人に対し明確に表明した時点において、右の優先権の主張があり、その結果、相続時に遡って当該遺産を取得することになると解すべきである。
本件において、第一審原告花子、同雪子に対する各遺言は、前記の認定事実に照らすと、分割方法の指定と解すべきであるが、同人らは、遅くとも本訴を提起した時点において、他の相続人に対して、被相続人の遺言に従い、本件土地に対する権利取得の意思を明確に表示し、かつ、本訴においてその旨の主張をしているものと解すべきである。
六そうすると、アキのした遺言に基づき、第一審原告花子は、本訴を原審裁判所に提起した昭和六一年九月二五日(本件記録上明らかである)本件一及び二の土地の所有権と三ないし六の土地の二分の一の共有持分権を、第一審原告雪子は、同じく同年一〇月三一日(本件記録上明らかである)本件八の土地につきその四分の一の共有持分権(アキの共有持分権)をそれぞれ取得したものというべきである。
又、第一審原告太郎は、本件七の土地を、本件遺言の効力が発生した昭和六一年四月三日遺贈により取得したことになる。
従って、第一審原告花子の請求のうち本件一ないし六の土地についての右の限度での所有権ないし共有持分権の確認、同太郎の本件七の土地についての所有権の確認、同雪子の本件八の土地につき四分の一をこえ二分の一の共有持分権(第一審原告雪子が自己の分として四分の一の共有持分権を有していることは当事者間に争いがないので同雪子は本件遺言により取得した持分四分の一を加え、共有持分二分の一を有することになる)の確認を求める第一審原告らの本訴請求は、いずれも理由があるのでこれを認容すべきであるが、第一審原告花子のその余の請求(本件三ないし六の土地についての二分の一の共有持分権の確認)は理由がないことに帰するので失当としてこれを棄却すべきである。
以上のとおりであるから、原判決主文第一、三、四項を変更して主文第一項各記載のとおり命ずることとし、第一審被告らの各控訴はいずれも理由がないので民訴法三八四条により棄却する。
訴訟費用の負担につき、同法九六条、八九条、九二条、九三条適用。
(裁判長裁判官武藤春光 裁判官菅本宣太郎 裁判官秋山賢三)